2024年7月22日月曜日 更新:

OM-1 Mark llは低ISOでもノイズが思ったよりひどい

Q. 私は最近、オリンパスOM-1 Mark llといくつかのProレンズを購入しました。これは4/3の世界への最初の進出だ。他のフォーマットでは多くの経験があり、写真業界では高度なスキルを持っている。

オリンパスの豊富な機能セットには拍手を送りたいし、購入の決め手にもなったが、画質には圧倒された。低ISOでも思ったよりノイズがひどく、ノイズ除去ソフトを常用しなければ、さらに不満が募るだろう。解像度は当然、私が以前使っていたFFカメラ、例えばキヤノン5D Mark IVやAPS-Cの富士フイルムX-T3には及ばない。おそらく、私は期待しすぎているか、不可能を求めているのだろう!この多くは、大きくプリントすることだけが重要なのかもしれないが、27 Macで編集・処理する際には、間違った選択をしてしまったかもしれないと感じている。Johnny Gregg, 21 July, 2024

 

A. カレーは食べた?それが問題なのかもしれない。Popcorn ready


フルサイズ→MFT移行問題

いきなり秀逸な返しに思わず笑ってしまったんですけれども、このスレッドには多くの返信が送られました。そして、投稿者のJohnny Greggさんがグッドアンサーに選んだのは、danartさんの回答です。

 

A. ジョニーさん、こんにちは。すべてのスレッドを読んでいないので、他の人が言ったことを繰り返しているかもしれませんが、同じような移行を経験したのでシェアします。最初はフルフレームとマイクロフォーサーズ(M43)を併用して撮影していましたが、現在は完全にM43に移行しました。

M43の違いは、少し異なる撮影方法を必要とすることです。できるだけヒストグラム内でETTR(右に露出)を練習するか、ハイライト/シャドウの警告をオンにして露出をガイドすることが必要です。EVFのハイライト警告のデフォルト設定よりもハイライトの許容量が大きいですが、感度を調整することができます。

拡張ISOについて、ここで言われていることとは逆に、クリーンなファイルが得られますし、拡張低ISOゾーンでダイナミックレンジを失うというのは誤りです。ハイライトに注意する必要がありますが、拡張モードは実際にはETTRを簡略化したものに過ぎません。カメラが露出オーバーにしてから露出を暗くしてくれます。ハイライトを保存するために撮影すれば、私の経験ではネイティブのベースISOよりもクリーンなシャドウノイズが得られます。

基本的に、M43はフルフレームと比較して露出アンダーをポストプロセスでのファイルの引き上げにはあまり寛容ではありません。フルフレームははるかに寛容です。

シーンに適したISOで常に撮影し、できるだけ多くの光をセンサーに当てるようにしてください。このプロセスが自動化されると、結果ははるかにクリーンになり、印刷目的ではほとんど違いがなくなりました。必要な場合にはAdobe Camera Rawでノイズ除去を使用しますが、ベースや低ISOでは必ずしも必要ではありません。ISOを上げた場合にフルフレームが提供する2ストップのギャップを埋めるために使用しています。私はAdobe Camera Raw/Photoshop/Lightroomが最も自然な出力を提供すると感じます。

DxOやOM Workspaceも試しましたが、ファイルが少しプラスチックのように感じました。私はより有機的な見た目を好み、Adobe Camera Rawが私の好みに最適です。M43の撮影方法や処理方法を把握した後、私はフルフレームを使用しなくなり、完全にM43に移行しました。これには、より小さなキットでの撮影を楽しむことが大きく影響しました。失望しないでください。あなたが見ている違いのほとんどはシステムの調整によるものです。danart


ETTRとは

ETTR(Expose to the Right)は、ヒストグラムで露出を「右側(ハイライト側)」に寄せることから名付けられています。シャドウ部のノイズを抑えるため、特にマイクロフォーサーズのカメラでは有効とされてきました。

投稿者は、マイクロフォーサーズのカメラで撮影したRAWファイルのシャドウ部分を持ち上げたときのカラーノイズのことを言っているのかもしれません。しかし、ETTRせずに撮影したOM-1のISO200のRAWデータの暗部を持ち上げたからといって、そんなにカラーノイズが出たかなあという印象です。

2016年に発売された「OM-D E-M1 Mark II」では、カラーノイズの経験が何度もあります。日陰の野鳥や照明のない室内などを高ISOで撮影すると、、、そうですね、そのときはETTRは有効でした。

2022年3月、OM Workspaceに「AIノイズリダクション」が初搭載されました。ディープラーニングを活用した画像ノイズ除去モデルが広く普及したことにより、高感度で撮影されたOM-D E-M1 Mark IIの写真を救えるようになった。星景写真などで強めに暗部を持ち上げる必要があるときでも、専用のAIアプリで「スタック処理」をすれば回避できます。そもそもフルサイズの重量級のデータを扱えるプロ級の写真家であれば、超強力なRAW現像環境があるはず。もしかして Intel Macでしょうか。それならノイズリダクションの処理にイライラするのも納得です。すぐにニューラルエンジン搭載のMacに変えましょう。

 

拡張ISO感度の落とし穴 

OM-1 Mark IIは、ISO80 や ISO100 といった「ISO LOW」設定が可能です。これらは物理的なゲインを下げるわけではなく、デジタル的な減算による擬似的な低感度です。DPReview や Photons to Photos などの測定サイトによると、「ISO LOW」はハイライト側の情報保持に劣るという報告があります。シャドウ部分のノイズ耐性は向上しにくいため、特別なシーン以外は素直にISO200にして適正露出で撮ったほうが優れた画質を得られる。


ISO16000

話は変わりますが、OM-1 Mark IIが発売されたとき、DPReviewの「ISO16000の作例」には大変驚きました。

PureRAWとRAWの比較
OM-1 Mark II + M.150-600mm F5.0-6.3 at 358mm, 1/1000s, f6.3, ISO16000, -0.7 EV

 

拡大図
Source: DPReview

 

上記は、OM-1 Mark IIのRAWデータと、市販のAI-NR(DxO PureRAW)の比較になります。焦点距離358mmの位置にいるオオワシの羽毛や目の斑点まで写っている。画像ノイズアナライザーによると、高周波ノイズは9.00を検出しています。ヒストグラムは比較的滑らかで深刻なノイズによる乱れは見られません。125付近に切れ込みがあるため、一部画像の階調に問題あることが分かります。

画像ノイズアナライザーによる分析結果


JPEGとAI-NRの比較

続いて、OM-1 Mark II の画像処理エンジンが生成したSDR-JPEGファイルと、DxO PreRAW 4で変換したDNGファイルを比較しました。

左:OM-1 Mark IIのJPEG、右:PureRAW4

OM-1 Mark II のSDR-JPEG 8bit画像の設定は、ノイズリダクション:標準です。高感度ノイズは綺麗に消えているが、羽毛の解像度が落ちてしまっている。右側は、DxO PureRAW 4の出力結果です。現時点では、市販されているAI-NRの方が優秀でした。

マイクロフォーサーズは塗り絵だと勘違いされる原因になるため、メーカーはSDR-JPEGの「高感度ノイズ低減:標準/強」の設定を廃止する。もしくはAppleやフルサイズ・APS-C陣営のように「HDR HEIC」などの10bit圧縮フォーマットの機能を追加しないと、冒頭のような質問や悩みは無くならないのではないか。

OM-1 Mark II HEIC(SDR変換)

未だにMFT陣営がHDR HEICを採用できないのは、ライセンス料などでコストアップしてしまうのでしょうか。明暗差が激しい海や山などのシーンで撮るときはその圧縮ファイル形式を選ぶと思いますし、後処理が不要になるので楽ちんで嬉しいなと思います。


ISO20000

DPreviewのサンプル画像の中には「ISO20000の作例」もあります。羽毛が潰れてしまっているので、ISO20000はちょっと使いたくない感じです。これでは画像をトリミングしたいときに利用できない。
 
at 429mm, 1/1000s, F6.3, ISO20000, -0.7 EV

強いノイズリダクションによりエッジのシャープさが低下しています。ヒストグラムには複数の切れ込みがあるため、画像の階調に問題あることが分かります。M.150-600mmとの組み合わせでは、ISO20000だとこれ以上の画質向上は難しいのかもしれません。なぜでしょうか。
 
画像ノイズアナライザーによる分析結果

 
 

入力信号の読み取りノイズと ISO 設定の関係

Photons to Photos」の画像ノイズの分析結果よると、▼マークは、ISO16000でアナログ増幅の限界に達し、カメラの内部でデジタルゲイン(増幅処理)やノイズリダクションが適用されている可能性を示しています。デジタルゲインは信号全体をスケーリングするため、読み取りノイズの劇的な変化は起こりにくく、緩やかな傾向になります。

つまり、ISO16000以上の画像を処理すると2重にNRをかけてしまうことになる。画質の向上を期待するのは難しい状態だ。

OM-1 Mark IIの読み取りノイズとISO設定の関係

 
以上の事から、OM-1 Mark IIのISO感度上限は、無闇に上げる必要がない静体はISO6400、動体でISO12800、どうしても記録しなければならない緊急時はISO16000までにすると良さそう。

 
以下、Photons to Photosに記載されている注意事項です。
  • DN の読み取りノイズは、電子の入力信号の読み取りノイズに変換されています。
  • 変換はアナログゲインのみを対象とします。デジタルゲインやその他の信号処理は抑制されます。
  • これらのRAWの値はエリアに合わせて調整されていないため、カメラ モデルの比較には適していません。
  • アナログ領域の 3 つのグループのフラット スポットは、通常、デジタル中間 ISO ゲインが存在する場所を示します。
  • ノイズリダクションなどの信号処理が開始されると、「高」ISO 値は奇妙な動作をすることがあります。
 
フォーサーズの150mm F2や300mm F2.8を使えば画質や分析結果は改善するのだろうか。それにしても、従来製品よりISO感度性能が飛躍的に向上しすぎです。
 

(参考)歴代のISOオート上限

  • 2012 OM-D E-M5  :ISO1600
  • 2016 E-M1 Mark II :ISO6400
  • 2024 OM-1 Mark II:ISO25600