無料のAI天体専用アプリ「GraXpert」を星景写真で使えるか試してみました。
元の写真
OM-D E-M5(2012年製造)で2016年に撮影したRAWデータを使用しました。
GraXpert
GraXpertは「E-M1 Mark III ASTRO」の発表のときに知った無料のAI天体専用アプリです。天体写真から光害かぶりした部分を取り除く機能に強みがあります。GUIの右側にあるADVANCEDメニューからAI-ModelのバージョンとAIハードウェアアクセラレーションの有効化の有無を選択できます。
RAW現像手順
写真によってパラメーターを微調整する必要があったので設定の詳細は省略します。以下の流れで現像しました。- PureRAW4でXD2, シャープネス, ヴィネット, 色収差を適用後にTiff出力
- GraXpertでBackground ExtractionのAIモードを適用後にTiff出力
- Pixelmator Proで1と2を比較暗合成後に色調整を行う
黒潰れして何も写っていないと思っていた山の風景ですが、上記のステップを踏むと、ゴツゴツした岩肌や緑の葉の色などが出てきました。
これは凄い😳 |
上記の手順2を飛ばすと、同じように現像できない。Background Extractionの処理が黒潰れした部分のノイズを除去するため、手順3の最後の後処理で自然な色合いや詳細が引き出せるようだ。
別の写真でも試してみる。赤岳の反対側にある横岳の夜空を撮影した写真です。光害の影響が少ないため、モニターによっては分かりにくいかもしれませんが、同じように岩肌や手前の草が姿を現しました。
これまた感動😳 |
街灯りは回避できない?
地上と星空の間にある街灯りが天体として認識されるのか、最終的に光害を強調するような写真になってしまう傾向があります。特に1枚目は山梨方面を向いているので街灯りが目立ちます。ストレッチ機能をOnにすると、街灯りが強くなっていく様子を確認できる。やはり明るい場所では、光害カットフィルターがあった方が後処理が楽になりそう。オリオン大星雲
せっかくなので、通常の使い方をしてみる。2018年12月に撮影した「オリオン大星雲」のRAWデータをPureRAWでTiff出力後、GarXpertの30%ストレッチで現像した2枚を比較明合成しました。元記事の写真よりも多くの情報がRAWデータの中に隠れていたことに驚いてしまう。
更にGraXpertでストレッチした3枚の写真を「Siril」で合成してみました。整列/整列方法: 「Global Star Alignment」で自動で位置合わせをしたあと、重ね合わせ/Method: 「Average stacking with rejection」の中に人工衛星の軌跡を消す機能「Winsorized Sigma Clipping」があり、確かにしっかり消えている。仕上がりにも雲泥の差があります。これは凄いや。
何ぁんにも写っていないと思っていた馬頭星雲も、F2.8で撮影した写真には、薄っすらではありますが、ちゃんと写っていました。オリオン座の三ツ星の左の星、アルタニクの左隣にある淡い光が「燃える木星雲」じゃないか?と、当時思ったものです。
OLYMPUS E-M1MarkII + M.40-150mm F2.8 at 213.06s (1枚約7.1s x 25枚) F2.8 85mm ISO6400 0 EV |
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いやはや天体写真の世界は奥が深い。天馬を撮影できる日は来るのだろうか・・・