2026年2月15日日曜日 更新:

天体撮影用カメラ「OM-3 ASTRO」と新M.50-200mm F2.8の実力チェック

2026年2月、OM SYSTEMより天体撮影用カメラ「OM-3 ASTRO」が発表されました。製品紹介ページには様々な天体写真が公開されましたが、その中にはあの新レンズの写真が含まれています。

バーナードループ作例:

  • E-M1 Mark III ASTRO + M.75mm F1.8:露出60秒、F2.8、ISO5000
  • OM-3 ASTRO + M.75mm F1.8:露出40秒、F2.8、ISO3200 
 
前回と同じレンズを使って撮影してくれています。なんとISO3200と低ノイズでありながら露出時間が 20秒 も短縮しています。
 

馬頭星雲作例

  • E-M1 Mark III ASTRO + ZD 300mm F2.8:露出60秒、 F3.5、ISO6400
  • OM-3 ASTRO + M.50-200mm F2.8: 露出60秒、F4.0、ISO5000 

前回、飯島氏はE-M1 Mark III + フォーサーズの超大口径 望遠レンズ ZUIKO DIGITAL 300mm F2.8(質量:3,290g)との組み合わせで、馬頭星雲のクローズアップ写真を紹介されていました。しかも手持ちハイレゾショットx2、光害カットフィルター、赤道儀追尾と、撮影情報だけで天体写真のエキスパートでなければ撮影できない写真だと驚愕しました。
 
今回の新M.50-200mm F2.8(質量:1,075g)の重さが約3分の1と軽量化したことにより、赤道儀への搭載時のバランス取りと極軸調整が大幅に容易になります。これにより、セッティング時間の短縮だけでなく、微調整時の再現性が向上します。また、新レンズの描写性能は、天体撮影に適した光学性能があると評価できると思います。
 
  • 星雲の輪郭が明瞭になり、周辺の暗黒星雲の微細構造が分離して描写されている
  • 星雲の濃淡やテクスチャーが均一に再現され、階調の潰れが少ない
  • 星雲の発色に濁りが少なく、Hα成分が自然な色調で再現されている
  • 背景の暗部は黒が締まり、不要なフレアやハロの発生が抑えられている
  • 恒星像は画面中央から周辺まで点像に近く、追尾誤差の影響を受けにくい
  • 色収差・像面湾曲が少なく、画面全体で均質な描写が得られている
 
OM SYSTEM STOREアプリに掲載された飯島氏の撮影風景。左のOM-3 + M.50-200mm F2.8 IS PROの下にあるのは ユニテックのポータブル赤道儀「SWAT-350?」と「ドイツ式赤緯ユニット」でしょうか。さらにその下にあるのは極軸微動ユニットか。従来品をベースに剛性を大幅に向上した2型(2024/5、ネイチャーショップKYOEI TOKYO)が発売中です。右はビクセンの星空雲台「ポラリエ U」のように見えます。

 

カスタム[C1][C2][C3]設定 

取扱説明書」のカスタム[C1][C2][C3]を書き起こしてみました。[C1] 天体スタッキング撮影、[C2] 星景スタッキング撮影、[C3] 手持ち星景撮影です。OM-3のボディおよび新型センサーに合わせて、ボタン割り当て、WB、ハイライト&シャドウコントロールなどの設定が大きく変わっています。
  • 記録画質モード[C1][C2] 50M+RAW(14bit)[C3] [L]SF+RAW
  • 撮影モード:M
  • 絞り[C1] F2[C2][C3] F1.2
  • シャッター速度[C1] 30秒[C2][C3] 4秒
  • ISO感度[C1] 3200[C2][C3] 6400
  • AF方式:星空AF [C1][C2] 精度優先[C3] 速度優先
  • AF + MF:On
  • ドライブ[C1][C2] 手持ちハイレゾショット[C3]低振動モード
  • 撮影待機時間[C1][C2] 4秒[C3] 1秒
  • 手ぶれ補正[C1][C2] S-IS Auto[C3] S-IS Auto 手持ち撮影アシスト On
  • LVブーストナイトビュー
  • モニター調整輝度-7
  • EVF調整自動調光 Off、 明るさ -7、自動切換 On
  • ガイド線表示色R200/G0/B0/α60
  • 露出補正ボタン拡大表示
  • 録画ボタンフォーカスリングロック
  • モニターボタンLVブースト切り替え
  • ホワイトバランス[C1][C2] 3500K B7 G7[C3] 2800K 0 G6(暖色系の星空表現)
  • ハイライト&シャドウコントロール[C1] +7, 0, -7(星の白飛び防止)、[C2][C3] +7, -5, +6(地上部分を明るく持ち上げる)
  • シャープネス−2
  • コントラスト+2
  • 彩度+2 (星空を鮮やかに)


  • カスタムモード「C3」は、その性能を活かす手持ち星景撮影モードで、天の川ですら手持ちで写し出すことが出来てしまう。三脚を立てるのが困難な場所、移動中の乗り物の窓から見える星空などもOM SYSTEMのカメラなら撮ることが出来る。三脚に縛られないため、カメラのポジション取りが自由でカメラアングルも自在。星空の下を歩きながら、スナップ撮影をするような感覚で星空撮影ができてしまう。すごいことである」(写真家 飯島裕氏


飯島氏の撮影風景その2。海の近くでしょうか。左の三脚にはストーンバッグが付いています。


関連記事

 

更新履歴

  • 2024/7/5、「天体撮影用カメラ「E-M1 Mark III ASTRO」のカスタム設定詳細」の記事公開
  •  2024年7月、OM SYSTEMより天体撮影用カメラ「E-M1 Mark III ASTRO」が発表されました。製品紹介ページには様々な天体写真が公開されましたが、その中の1枚の写真に私はとても驚きました。
  • バーナードループ作例: 
  • そう、ノーマルの作例の方に。。。。
OM SYSTEM

  • 6年前に馬頭星雲を狙って挫折しました。Quad BPフィルターが必要なのかと思っていたが、今回の作例を見る限り、光害カットフィルターが絶対に必要という訳ではなさそうだ。 

  • 設定のヒント:
  • 作例には以下の情報が記載されています。
  • E-M1 MarkIIIで撮影
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
  • 60秒 F2.8 ISO3200
  • 手持ちハイレゾショット、1枚撮り
  • 赤道儀使用
  • ソフトウェアで画像処理をしています
  • 三脚+手持ちハイレゾショットで60秒/16ショット = 1枚約3.75秒 で撮影したということか。しかも光害カットフィルターなしです。
  • 500/600ルールで検証:
  • M.75mm F1.8で撮影していることにもビックリです。そんなに短い焦点距離でいいんだ。。。500/600ルールで計算すると、露出約3〜4秒まで星を点で撮れる。
  • 500/75x2= 約3.33秒
  • 600/75x2= 約4秒
  • 我が家ではM.40-150mm F2.8で撮ることになるので、テレ端の焦点距離も計算してみました。この場合、約1〜2秒と。✍️
  • 500/150x2= 約1.66秒
  • 600/150x2= 約2秒
  • Uploadfilterさんの作品:
  •  海外のOlympusフォーラムに馬頭星雲の写真が掲載されていたので設定を調べてみる。
  • 炎と馬頭星雲 II
  • Olympus PEN E-PL8
  • Samyang 135mm F2.0 ED UMC
  • Vixen ポラリエ スタートラッカー
  • 3時間x540ショット ISO100 F2.4
  • 長い悪天候が続いた後、2 月の最後の 2 日間に再び炎と馬頭星雲を撮影することができ、2020 年 12 月の 91 分の露出時間に 89 分の露出時間が追加されました。Sequator で画像をスタックし、Photoshop と StarNet で処理しました」(2022、Uploadfilter)
  • 500/600ルールによると、135mmは約1〜2秒の露出時間までは確実に点で撮れる。赤道儀は長時間構図を維持するためだけで極軸精度はあまり求められていなかった事になる。絞りF2.4〜2.8で撮ることの方が大事なのか。
  • 180分/540枚 = 0.33秒
  • 500/135x2= 約1.85秒
  • 600/135x2= 約2.22秒
  • 昔の写真」を見ると、297.5mm 30s ISO3200 F8とあり、LUMIX 45-175mm にTCON-17を付けるとちょうど297.5mmとなる。そうか、撮影に使ったレンズでは暗すぎたのか!
  • 500/297.5x2= 約0.84秒
  • 600/297.5x2= 約1秒  
  • 35mm換算600mmの世界を絞って長秒露出してたんだ。。。。 違う努力をがんばっていたんだねぇ( ;∀;)とほほ
  • 飯島裕氏の作例:
  • 【PLAZAトーク】飯島裕流「新製品E-M1 Mark III ASTRO での星景写真撮影テクニック~作品作りまで」(24/8/12、OM SYSTEM
  • 24/8/12、付属の光害カットフィルターの透過率が紹介されました。これをよしみカメラさんの紹介記事と重ねてみると、Ha強調フィルターでもあるAstroマルチスペクトラ相当のフィルターということになる。本当だとするとこれは買いかも。 
よしみカメラ


BMF-LPC01の透過率


OM SYSTEM
  • 飯島裕氏の馬頭星雲の作品紹介もありました。レンズ名はF2.8の誤りです。F3.5、60秒、ISO6400、手持ちハイレゾショットx2、光害カットフィルター、赤道儀追尾とあります。60秒/16 = 3.75秒で撮ったのでしょうか。

    OM SYSTEM

     

  • AI天体写真アプリ:
  • 6年振りに天体写真アプリについて色々と調べてみると、AIの登場によって勢力図が様変わりしていました。夜空と天体のわずかな光量の差を強調するために、スタッキング、ストレッチ、ノイズリダクション、光害かぶり除去などの技術が駆使されています。
  • メイン PixInsight(有償、無料体験版45日、対応OS:Linux、Mac、Windows)、Siril(無料、対応OS:Linux、Windows、Mac)
  • ノイズリダクション DeNoiseAI(有償、対応OS: Windows、Mac) 
  • 光害かぶり除去 GraXpert(無料、対応OS:Windows、Mac、Linux) 
  • ここまで調べたあとで、ようやくE-M1 Mark III ASTROの価値が分かったような気がします。例えば当時、馬頭星雲の正しい撮影方法に辿り着いたとする。そして、夜な夜な何時間もかけて撮影とストレッチ現像を繰り返して下図左の写真を完成できていたとしましょう。それでもきっと、今回のこの60秒という露出時間を見て、衝撃を受けたに違いありません。 
OM SYSTEM
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