2022年11月28日月曜日

OM-1の鳥認識AF+「もっと粘る」モード

OM-1で撮影していると「鳥認識AF」がOnの状態のときにC-AF追従感度の「粘る」は無効化されている印象があります。


C-AF追従感度とは

  • AF方式がC-AF、C-AF+MF、C-AF+TRまたはC-AF+TR+MFのときに被写体に対するオートフォーカスの追従性を設定できます。速い動きの被写体にオートフォーカスを追従させたいときや、被写体の前を障害物が出入りしてピントが移動してしまうときなどに有効です
  • C-AF追従感度は5段階(+2, +1, 0, -1, -2)の感度が設定できます
  • +側に設定するほど感度は上がります。見えない位置から急に現れる被写体、すばやく遠ざかる被写体など、前後に急加速、急停止する被写体に対応するときは+側に設定します
  • -側に設定するほど感度は下がります。被写体との間の障害物にピントが移動してしまったり、被写体がAFターゲットから外れてピントが背景に移動してしまうときは-側に設定します

 

とのこと。取扱説明書を読むと被写体検出でも使えそうですが、、、


再検証

今回テストした場所は、手前に雑草があり75mほど奥に道路があります。CーAF追従感度-2を設定したあと、左右に往来する車をAF-ONで追いかけ続けて正面にある雑草のところでピントが引っ張られたらアウトです。

被写体検出Offのときは「粘る」が正しく動作しています。しかし、モータースポーツ認識AFや鳥認識AFをOnにすると「粘る」が最大の-2でも手前にピントが引っ張られてしまいます。

車なのにどちらかというと
モータースポーツ認識AFより鳥認識AFの方が粘る

 

現時点では「AI被写体認識AF」というのは学習量が重要であって、人間のおせっかい(C-AF追従感度-2)は基本的に通用しないと考察します。

このような場面では従来通り「被写体検出Off」か「AFリミッター」で回避するしかありません。しかし、ファームウェア更新で鳥認識AFがどんどん賢くなっているので、なんとも歯がゆい状況です。

 

 

鳥認識AF+「もっと粘る」モード

今回のテスト結果から「正面の雑草」を避ける位置に「カスタムターゲット」を作ればよいことを思いつく。車の一部でも「AI被写体認識AF」は車と認識して追い続ける。たとえ前景や電柱などの障害物でロックオンが外れたとしてもすぐに復帰します。この流し撮りの設定が、なぜか犬猫や大型の野鳥撮影で「粘る」を使いたいときに有効でした。 


  • 下準備
    1. AFターゲットモード設定で「サイズ縦1, 横39、移動ステップ縦1, 横1」を作成
    2. 鳥認識AF撮影時に、このカスタムターゲットをセットして「1つ上」に移動させる

これより左右が短いのはダメ

撮影中は画面中央から一つ上の位置がベスト


試写1

上記の設定のまま遊びでカルガモを撮影したところ、なんと鳥認識AFがOnの状態でも面白いように「粘る」ようになった。AF-ONは押しっぱなしです。あとは好きなタイミングでシャッターボタンを押せばよい。

大丈夫


これも大丈夫





鳥認識AFなのに粘る



粘る粘る





これなら決定的瞬間を逃さない









横一列の「カスタムターゲット」が画面中央の位置にあったり、2つ上の位置だと従来通りすぐ手前の草木に引っ張られます。また、野鳥の体がほとんど隠れると流石に追従しませんでした。

これはMFクラッチ

AF方式はC-AF、AFターゲット表示はウニョウニョ動く「On2」です。これは鳥認識AFが更に賢くなるまでの暫定策であり、すべての場面で有効とは思いません。しかし、同じようなシーンに出会ったらまた切り替えて試してみようと思います。

 

 

机上で検証

引き続き机上でテストを続けた結果、以下のことが分かりました。

「鳥認識AF:On」の特徴(Ver.1.3)

  1. C-AF追従感度は機能しない
  2. C-AF中央優先は機能しない
  3. AFリミッターは機能する
  4. AFターゲット枠に関係なく画面中央にいる鳥を白枠で選ぶ
  5. 小鳥の場合はくちばしや頭部を隠すと白枠は出ない
  6. AF-ONのときAFターゲットの枠に関係なく画面中央に障害物が進入して停止するとピントを合わせる
  7. AF-ONのときAFターゲット枠内に障害物が進入して停止するとピントを合わせる

 

今回の「もっと粘る」モードは、7番に有効なことが分かりました。6番の回避策はないのですが、鳥を2羽以上認識(白枠太線と白枠細線)しているときは、画面中央のピント合わせは動作しませんでした。

また、他分野のカスタムターゲット例として、ぽぽぽ!さんによる飛行機の離陸の流し撮りの場合は、前景、後景、翼の先端部分を避けた「コクピット側縦」にたどり着いたとのことです。 


試写2

机上の空論になってしまっても困るので、同じ設定でもう一度試写へ。条件を変えるためにM.300mm F4 IS PROにMC-14を付けてみました。


下図のように特徴6または7が発動してウォブリングに似た現象に見えるときがあるが、AF-ONを押し続けていればリカバリーされやすくなった印象です。



「被写体検出をOffにすればいいじゃん」という声もあると思うが、白枠が出ているだけで、とにかく撮影中の安心感が凄い。この体験を一度経験してしまうと、なかなか使うのを止めたくないのです。「従来の機能」は1シリーズを踏襲しているので、確実性が増すのは間違いないのでしょうけど。

この写真だけ「HI測光



「もっと粘る」モードは、”構図を自由自在にできる”というメリットがあることに気が付きました。スナップ感覚で野鳥を撮影するのも楽しいものですね。鳥認識AFに迷いが無くなり、少し心に余裕ができたのか、大木の遥か上方にいるヒヨドリを手持ちハイレゾショット。なぜか撮影に成功してしまいました。野鳥なのに。夕日を浴びて固まっていたのかな?







苦手なシーン

「もっと粘る」モードで撮影していると、苦手なシーンも見つかった。このケースは前景が主役だが、鳥認識AFは背景を優先しているような印象です。


 

これはVer.1.3で枝被りに強くなった反面、前景を無視する傾向があるのかもしれません。この時は、AFターゲットで前景の木を注目するように指示する必要がありました。

 

これは、AFターゲットモード設定で「サイズ縦1, 横33、移動ステップ縦1, 横8」を作成して、🕹️の左右で素早く指定する方法を考えましたが、、、


鳥認識AF+「小鳥」モード

実際にフィールドで試してみると、このショートバーの両端を被写体や枝に意図的に重ねると、素早くピントが移る特徴7を利用できます。「もっと粘る」モードのまま両端だけ「C-AF追従感度+2」が作動する感じです。


  1. AF-On
  2. ショートバーの両端のどちらか一方を被写体または近くの枝に重ねる
  3. 鳥認識AF枠が表示される
  4. (必要に応じて)AF-Onを離す、またはC-AF+MF
  5. シャッターを切る

上記の手順2は、マルチセレクターを動かすのではなく、カメラを動かして被写体や枝を狙います。小鳥でも接近できたときは、引き続き横一直線の「もっと粘る」モード。小鳥と距離が離れているときはショートバーの「小鳥」モードを使い分けることにしました。



 

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