インターネット上でOM SYSTEM OM-1のAFやフリーズで困っている人を見かけると「どんな現象なのだろう」と気になるものの、情報の波に流されてしまい今日に至る。しかし、海外のフォーラムなどで見聞きしたことを記録しておけば、誰かの役に立つかもしれません。今回はAF編です。
現象1:C-AF+TRでAFの動作が暴れる
OM-1発売前の2/15に米国のレビューで報告されました。C-AF+TRとAFターゲット表示On1で緑色のターゲット枠が画面内を縦横無尽に移動してしまう現象です。私のOM-1(Ver.1.1)でも再現しました。測光に「中央重点」を使用すると比較的安定しました。また、常にAFターゲットモードALLの動作をするため、緑色のターゲット枠はAFターゲットモードに従う設定が選べるとよいですね。- 期 間:2022年2月15日〜
- 報 告:米国、日本、欧州
- 暫定対策:画面内に収まる動体は中央重点測光+鳥認識をOnにする、静止物は被写体検出をOff+画面タッチによるロックオンを使用する。OMDSにC-AF+TRの静止物の性能向上を提案する(窓口)
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OM-1 Mark II 取扱説明書 P55より |
現象2:50Hz環境下でS-AFの動作が不安定になる
商用電源50Hzの地域でS-AFの動作が不安定になる報告があります。S-AFでピントが合っていなくても、ピントが合ったインジケーターが表示されます。「フリッカーレスLV」の50HzをOnにすると再現しやすく、EVFのフレームレートを高速にすると回避できたとのことです。私のOM-1(Ver.1.1)でも検証してみましたが、フレームレート標準でS-AFは特に不安定になりませんでした。室内照明やシャッターの種類によっても動作結果が異なるのかもしれません。
- 期 間:2022年3月24日〜
- 報 告:独、英国、UAE
- 暫定対策:EVFのフレームレートを高速にする
商用電源周波数
商用電源として供給されている交流の電源周波数について
現象3:低照度下でS-AFの動作が不安定になる(解決済)
低照度下の自然光でS-AFの動作が不安定になる報告があります。S-AFでピントが合っていなくても、ピントが合ったインジケーターが表示されます。この状態になってしまったあとは、電源を入れ直すと一時的に回復するとのことです。私のOM-1(Ver.1.1)では、まだ再現できていません。→Ver.1.3で改善との報告あり
- 期 間:2022年3月24日〜2022年11月23日
- 報 告:英国、日本
- 暫定対策:電源を入れ直す
- 根本対策:ファームウェアVer.1.3にアップデートする(更新手順)
現象4:C-AFが僅かに合焦していません(解決済)
米国と独のユーザーから、C-AFのピントがフロントフォーカスになってしまうとの報告があります。私のOM-1(Ver.1.1)でも親指AFで「半押し時のAF」の「C-AF/C-AF+TR」を「AFする」に設定すると似たような挙動になりましたが、これに困っているのかどうか自信なし。→この現象を対策したファームウェアVer.1.2がリリースされました。海外でも「AF-Onで何度も被写体を掴もうとする動作が減少した」との報告が多数寄せられています。
葉や枝の形が鳥に似ているなど被写体検出が勘違いするケースは時々あるので、AFを止められる「AFしない」と、AFのアルゴリズムを可視化する「AFターゲット表示On2」の組み合わせにしてから撮影が楽しくなった印象です。プロキャプチャーモードで使用するS-AFは、「AFする」にしています。フォーラムでは「拡大」を併用するといいよとアドバイスしている人がいて、確かにシーンによっては取り入れてもよいなと思いました。
- 期 間:2022年5月17日〜2022年6月30日
- 報 告:米国、独、日本
- 暫定対策:「半押し時のAF」の「C-AF/C-AF+TR」を「AFしない」に設定してAF-ONで運用する、「AFターゲット表示On2」を使用する、L-Fnボタンなどに「拡大」を割り当てる
- 根本対策:ファームウェアVer.1.2にアップデートする(更新手順)
現象5:75mm F1.8で長距離(約10m)のC-AF動作が不安定になる(解決済)
75mm F1.8で長距離(約10m)をC-AFで撮影するとAFが不安定になる報告があります。C-AFでピントが合っていなくても、ピントが合ったインジケーターが表示されます。→Ver.1.3で改善との報告あり
- 期 間:2022年4月5日〜2022年11月23日
- 報 告:独
- 根本対策:ファームウェアVer.1.3にアップデートする(更新手順)
現象6:メカシャッター連写時にF22まで絞り込むと動作が止まる(解決済)
メカシャッターのC-AF連写時に遠方にピント合わせたあとF22まで絞り込んだ条件で稀に動作が不安定になる報告があります。毎回止まる訳ではなく連写が止まるコマはランダムで、連写停止後はEVFの情報がすべて非表示になるとのことです。
まとめ
現象1〜2についてはC-AFや暫定対策で運用するとしても、ファームウェア更新による根本対策が待たれます。現象5は、22/11/24に静止画撮影時のC-AFの性能を向上したファームウェアVer.1.3、現象6は、23/2/16に問題を対策したVer.1.4がリリースされました。
OM-1のレビューではソニーやキヤノンのフラッグシップ機のAFと比較して精度アップを求める声が多い印象ですが、個人的にはC-AF追従感度の状態表示、バッファメモリ残量表示メーター、被写体検出時のロックオン状態の色分けなど、カメラの状態やAIが何を考えているのか、EVFを通してより詳しく教えてくれるように進化させることも検討して欲しいです。
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OM-1おすすめ設定OM-1おすすめ操作
更新履歴
- 6/25、USのフォーラムでは、BIF(Bird In Flight:飛翔写真)やBBフォーカス(Back Button:親指AF)についての意見交換が活発に行われており、OMDSは7/28にニューヨークで「鳥の写真撮影のためのOM-1オートフォーカスワークショップ」を開催しました。
- 11/11、日本でもBIFのワークショップ:写真家 菅原貴徳「パターンで学ぶ野鳥の飛翔写真の撮り方」が開催されます。こちらは有償になります。