2024年2月1日木曜日

OM-1のAF問題を考える

インターネット上でOM SYSTEM OM-1のAFやフリーズで困っている人を見かけると「どんな現象なのだろう」と気になるものの、情報の波に流されてしまい今日に至る。しかし、海外のフォーラムなどで見聞きしたことを記録しておけば、誰かの役に立つかもしれません。今回はAF編です。

現象1:C-AF+TRでAFの動作が暴れる

OM-1発売前の2/15に米国のレビューで報告されました。C-AF+TRとAFターゲット表示On1で緑色のターゲット枠が画面内を縦横無尽に移動してしまう現象です。私のOM-1(Ver.1.1)でも再現しました。測光に「中央重点」を使用すると比較的安定しました。また、常にAFターゲットモードALLの動作をするため、緑色のターゲット枠はAFターゲットモードに従う設定が選べるとよいですね。

風に揺らぐ木の葉や枝など自然の静止物で繰り返し検証を行った結果、様々なAFオプション設定をOffにするよりも鳥認識AF(他の被写体検出だと暴れる)をOnにしたときの方が最も理想的な動きをすることに気づきました。AF-Onで被写体を指定したあとにOM-1がロックオンできた場合、ボタンを押し続けるとOM-1はかなりというかしつこいほど粘ってくれます。これがユーザーが求めるC-AF+TRの動作ではないか。
 
C-AF+TRは、LUMIX GM1でよく使っている機能です。静止物で絶対にピントを合わせたい位置に画面をタッチしたあとに自由に構図を変えることが出来ます。液晶画面が小さいのでターゲット表示で安心感も増します。これを上記設定で同じことをしようとすると駄目でした。被写体検出がOnだと緑色のターゲット枠のサイズが変化してしまうし、被写体検出をOffにするとターゲット枠が外れやすい傾向がある。
 
Ver.1.2でだいぶ良くなりましたが、C-AF+TRはC-AFと違って静止物をあまり想定していないのかもしれませんね。

  • 期  間:2022年2月15日〜
  • 報  告:米国、日本、欧州
  • 暫定対策:画面内に収まる動体は中央重点測光+鳥認識をOnにする、静止物は被写体検出をOff+画面タッチによるロックオンを使用する。OMDSにC-AF+TRの静止物の性能向上を提案する(窓口
 
  • 半押し時のAF:AFしない
  • 被写体検出:Off
  • AF方式:C-AF+TR
  1. 画面左下のアイコンを何度かタッチすると上図アイコンになる
  2. そのまま画面タッチで被写体をロックオン
  3. 自由に構図を変えることができる、ズームもOK
  4. ロックが外れたら2に戻る
  5. 構図が決まったらシャッターを切る 
  
→OM-1 Mark IIに「被写体検出のC-AF範囲」と「被写体検出ロック」が搭載されました!(24/1/31)
 
OM-1 Mark II 取扱説明書 P123より

 
 
OM-1 Mark II 取扱説明書 P55より


米国のフォーラムに投稿されていた動画のリンクです。初代OM-1でも赤い色は結構粘る様子。
 

現象2:50Hz環境下でS-AFの動作が不安定になる

商用電源50Hzの地域でS-AFの動作が不安定になる報告があります。S-AFでピントが合っていなくても、ピントが合ったインジケーターが表示されます。「フリッカーレスLV」の50HzをOnにすると再現しやすく、EVFのフレームレートを高速にすると回避できたとのことです。私のOM-1(Ver.1.1)でも検証してみましたが、フレームレート標準でS-AFは特に不安定になりませんでした。室内照明やシャッターの種類によっても動作結果が異なるのかもしれません。

  • 期  間:2022年3月24日〜
  • 報  告:独、英国、UAE
  • 暫定対策:EVFのフレームレートを高速にする

 
 

現象3:低照度下でS-AFの動作が不安定になる(解決済)

低照度下の自然光でS-AFの動作が不安定になる報告があります。S-AFでピントが合っていなくても、ピントが合ったインジケーターが表示されます。この状態になってしまったあとは、電源を入れ直すと一時的に回復するとのことです。私のOM-1(Ver.1.1)では、まだ再現できていません。→Ver.1.3で改善との報告あり

  • 期  間:2022年3月24日〜2022年11月23日
  • 報  告:英国、日本
  • 暫定対策:電源を入れ直す
  • 根本対策:ファームウェアVer.1.3にアップデートする(更新手順
 
 

現象4:C-AFが僅かに合焦していません(解決済)

米国と独のユーザーから、C-AFのピントがフロントフォーカスになってしまうとの報告があります。私のOM-1(Ver.1.1)でも親指AFで「半押し時のAF」の「C-AF/C-AF+TR」を「AFする」に設定すると似たような挙動になりましたが、これに困っているのかどうか自信なし。→この現象を対策したファームウェアVer.1.2がリリースされました。海外でも「AF-Onで何度も被写体を掴もうとする動作が減少した」との報告が多数寄せられています。

葉や枝の形が鳥に似ているなど被写体検出が勘違いするケースは時々あるので、AFを止められる「AFしない」と、AFのアルゴリズムを可視化する「AFターゲット表示On2」の組み合わせにしてから撮影が楽しくなった印象です。プロキャプチャーモードで使用するS-AFは、「AFする」にしています。フォーラムでは「拡大」を併用するといいよとアドバイスしている人がいて、確かにシーンによっては取り入れてもよいなと思いました。

  • 期  間:2022年5月17日〜2022年6月30日
  • 報  告:米国、独、日本
  • 暫定対策:「半押し時のAF」の「C-AF/C-AF+TR」を「AFしない」に設定してAF-ONで運用する、「AFターゲット表示On2」を使用する、L-Fnボタンなどに「拡大」を割り当てる
  • 根本対策:ファームウェアVer.1.2にアップデートする(更新手順

 

 

現象5:75mm F1.8で長距離(約10m)のC-AF動作が不安定になる(解決済)

75mm F1.8で長距離(約10m)をC-AFで撮影するとAFが不安定になる報告があります。C-AFでピントが合っていなくても、ピントが合ったインジケーターが表示されます。→Ver.1.3で改善との報告あり

  • 期  間:2022年4月5日〜2022年11月23日
  • 報  告:独
  • 根本対策:ファームウェアVer.1.3にアップデートする(更新手順

 

 

現象6:メカシャッター連写時にF22まで絞り込むと動作が止まる(解決済)

メカシャッターのC-AF連写時に遠方にピント合わせたあとF22まで絞り込んだ条件で稀に動作が不安定になる報告があります。毎回止まる訳ではなく連写が止まるコマはランダムで、連写停止後はEVFの情報がすべて非表示になるとのことです。

  • 期  間:2022年6月〜2023年2月15日
  • 報  告ぽぽぽ!さん
  • 根本対策:ファームウェアVer.1.4にアップデートする(更新手順

 

 

まとめ

現象1〜2についてはC-AFや暫定対策で運用するとしても、ファームウェア更新による根本対策が待たれます。現象5は、22/11/24に静止画撮影時のC-AFの性能を向上したファームウェアVer.1.3、現象6は、23/2/16に問題を対策したVer.1.4がリリースされました。

OM-1のレビューではソニーやキヤノンのフラッグシップ機のAFと比較して精度アップを求める声が多い印象ですが、個人的にはC-AF追従感度の状態表示、バッファメモリ残量表示メーター、被写体検出時のロックオン状態の色分けなど、カメラの状態やAIが何を考えているのか、EVFを通してより詳しく教えてくれるように進化させることも検討して欲しいです。



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