2021年11月1日月曜日 更新:

パナソニック 有機CMOSセンサーの最新仕様

2021年10月27日(水)、パナソニックは有機CMOSセンサーの最新仕様を公開しました。



Super 35有機CMOSセンサーの主な仕様(2021年9月)

イメージサイズ:Super35(対角線27.78 mm、24.58 × 12.96mm)
推奨記録画素:8,192 × 4,320、35.389万画素
画素サイズ:3.0 × 3.0μm
カラーフィルタ:R,G,Bベイヤー
フレームレート:60fps
撮影モード:グローバルシャッター、ローリングシャッター
飽和電子数:45 ke- / 450 ke-
電源:アナログ3.3/1.8 V、デジタル1.2V、ピクセル未定
インターフェース:Sub LVDS 1.4 Gbps

 




有機CMOSセンサーの特徴

  • 有機膜感度のオン/オフを切り替える独自技術でグローバルシャッターを実現
  • 独自の積層構造により感度の高ゲインモード(4.5万電子)と低ゲインモード(45万電子)の切り替えでシーンに応じた広ダイナミックレンジな撮影が可能 
  • LEDフリッカー蛍光灯フリッカーの問題は発生しない構造
  • 電子ND機能でイメージセンサの実効感度を制御しシームレスに広範囲なND値の調整が可能





 

 

有機CMOSセンサーの歴史

パナソニック
  • 2016年2月、イメージセンサーの受光部を従来のシリコンフォトダイオードから富士フイルム製の有機薄膜を採用した「有機CMOSセンサー」を技術発表
  • 2018年2月、有機薄膜を用いたCMOSイメージセンサによる3600万画素、8K60p、高性能グローバルシャッタ撮像技術を開発
  • 2018年10月、世界初の8K有機センサーを搭載した、8Kカメラシステムを開発
  • 2019年9月、8K Super35有機CMOSセンサー、PLマウントの8Kマルチパーパスカメラ「AK-SHB800」および8Kフルサイズ有機CMOSセンサー、EFマウントの8K ROIカメラシステム「AK-SHB800GJ」を受注販売
  • 2019年9月、東京オリンピック以降のLUMIX実装を示唆 
  • 2019年11月、GaNと有機CMOSセンサー以外の半導体事業の撤退を発表
  • 2020年1月、津賀社長は「有機CMOSセンサーは他社の工場を使って作る」と表明
  • 2021年10月、最新の技術仕様を公開
  • 2023年3月、有機CMOSイメージセンサーが持つ高い機能性として、あらゆる種類の光源下における良好な色再現性について学会発表

 

ソニー

  • 2019年12月、IEDM 2019にて有機材料の光電変換膜を利用した3層分光型のイメージセンサーの試作品を発表
  • 2019年12月、大阪オフィスを開設し、CMOSイメージセンサーの設計開発能力を強化 
 
ソニーは、IEDM 2019で有機膜を利用した製品の試作品(700万画素、2x2µm、60fps)を発表しましたが、それ以降に類似する製品の続報は今のところありません。
従来のベイヤー型(左)と3層分光型(右)




ソニーの次世代センサーは?

一方、2021年5月に民生用カメラのカタログに掲載した「IMX472」(4/3センサー 20.89MP、3.3x3.3μm、120fps)は、裏面照射型+積層構造の新方式で、有機CMOSセンサーのように光線入射角が広く高感度耐性に優れた特性を持つ。


 
OM SYSTEM OM-1 製品カタログより

 

来年初めに発売すると噂されているOMシステムとLUMIXの最新フラッグシップ機は、(詳細は伏せられているが)新開発のセンサーを搭載する予定です。これはパナソニックとソニーのどちらの新型CMOSセンサーを採用しても「お〜」です。現時点では、ソニーの民生用カメラの標準品として商品化されている「IMX472」のカスタマイズ品になる可能性が高いでしょうか。小さいカメラなのに高感度に強くなっちゃうんだから、欲しくなってしまいますね。

 

有機CMOSの今後