2020年4月18日土曜日

COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック

長年のわだかまりのようなものがすっと消え去った。

時代背景

1992年1月、まだ世の中にインターネットはなく、月一の音楽雑誌と衛星放送や深夜の音楽番組が楽しみの一つでした。ふらっと立ち寄ったレコード店で「シアトルで人気のロックバンド?聴いてみるか!」と、なんとなく『ネヴァーマインド』を購入したのが最初の出会いでした。ボーカルの人は左利きだ。2月に日本に来るみたい?

『ネヴァーマインド』は1992年1月11付けでビルボード1位を獲得

日本ではモトリー・クルーやガンズのLAメタルが人気だが、どうやら世界で爆発的に売れているバンドのようだ。どちらかというとイギリス寄りだった私は、ヘヴィメタル好きの友人にCDを貸して反応を楽しんでいた。

その後、来日時のインタビュー記事を読んでもっと驚いた。なんと大ヒット中のアルバムを「俺達が本当にやりたいのはコレじゃないんだよ」とさらりと否定したのである。おいおい何者だよこの人達は・・

インディーレーベル時代の前作『ブリーチ』を聴いてみよう。続いてパンクロックの影響が色濃いコンピレーション・アルバム『インセスティサイド』を聴きながら新作を待った。

ところがメディアから提供される情報は、ロックスターになったことを嘆き、社会やメディア批判を繰り返すネガティブな話題ばかり。そのような状況でリリースされた最新作『イン・ユーテロ』は、当然、受け入れ難い内容だった。



26年後の真実

1994年4月5日の突然の訃報から26年。きっかけはデイヴ・グロールの特集記事だったと思うが、関連作品ということでフランシス・ビーン・コバーンが製作総指揮として参加したドキュメンタリー映画「COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック」の存在を知った。

辛く悲しい記憶として、彼等の音楽を純粋に楽しむことができなくなっていたが、この映画は、Foo Fightersの『This Is A Call』ように痛みを和らげてくれる作品の一つだ。特に『イン・ユーテロ』を制作した意図を詳細に知ることができたのは良かった。

当時は、苦悩や批判ばかりではなく、家族を大切に想う発言も多かった。いつか愛娘の成長を綴った『ダブルファンタジー』のような作品を発表してくれるのではないかと期待したものでした。その片鱗をこの映画で観ることができる。

しばらくして、川崎のマルイで「パジャマを買った話」や、昔の来日インタビュー記事を楽しく読んでいる自分がいた。そうそう、最初の印象はロックスターらしくない面白い兄ちゃん達だったんだよなあ・・



COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック

  • Kurt Cobain: Montage of Heck
  • 2015年
  • 132分
  • 監督・脚本・製作:ブレット・モーゲン
  • 音楽:カート・コバーン&NIRVANA
  • 製作総指揮:フランシス・ビーン・コバーン
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