2017年9月14日木曜日

E-M1 Mark IIでネガフィルムをデジタルコピー

Nikonのスライドコピーアダプター「ES-1」を使用したお手軽「デジタルデュープ」が話題です。今回は、マイクロフォーサーズのデジタル一眼カメラを使用して、ネガフィルムをデジタル化してみようというお話です。

    用意したもの

     

    MMF-3 →EX-25 →ZD 50mm F2 Macro →Kenkoレンズフード52-55mm →ステップダウン55-52mm →Nikon ES-1

     



     

     

      使用できるレンズ

      マイクロフォーサーズ ES-1」で検索すると、ネガフィルムをデジタルコピーする事例がたくさん見つかります。

      MFTレンズ
      • M.ZUIKO 12-50mm F3.5-6.3 EZ(マクロモード)
      • M.ZUIKO 30mm F3.5 Macro +ステップアップリング
      • LUMIX 30mm F2.8 Macro
      • LUMIX LEICA 45mm F2.8 Macro

      旧規格のフォーサーズでは、下記2本のレンズが定番です。最短撮影距離20cm以内、焦点距離35〜50mmのマクロレンズが「ES-1」と相性が良さそうです。


      4/3レンズ
      • ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5
      • ZUIKO DIGITAL 50mm F2.0 Macro
       
      ZD 50mm F2.0 Macroは最短撮影距離が24cmですが、純正の接写リング「EX-25」や連結フードを使って「ES-1」の位置を調整すれば使用できます。また、冒頭の構成に52-55mmフードを追加すると、フレーム枠を残して撮影できます。

      我が家はフォーサーズの資産があるのでZD 50mm F2.0 Macroを選択しましたが、いま「EX-25」が新品で4,000円とか改めて時代を感じてしまいます....
       
      なお、ハーフマクロ性能を持つ、M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PROと、Kenko接写リング10mmの組み合わせを試したところ、発色の低下および画像周辺の流れなどが発生したため、フィルムデジタイズの観点からおすすめできません。





      フィルム保護カバー

      何も考えずにネガフィルムを「ES-1」に差し込んだところ、フィルムに傷が(ノД`)。。。慌ててFUJICOLORプラスチックマウントを購入して、穴開き側を2つセロテープで貼り合わせて自作しました。フィルムを差し込んだ時に上下しないように、マウントの両サイドにセロテープでストッパーを付けてあります。


       
      その後、これでもフィルムに傷が付きやすいことに気付いて、「ES-1」の後継「ES-2」のセット品である「Nikon ストリップフィルムホルダー」 に移行しました。※このホルダーは「ES-1」と互換性がないので、レールを装着するなど少し改造が必要です。




      光源

      ニコンの解説によると、自然光は季節や時刻で色温度が変化するため、LEDライトやライトボックスなどRa(平均演色評価数)の高い光源を使用するのがおすすめです。一般的に平均演色評価数(Ra)が80以上あれば、色彩の見え方を実用的に満足させられるといわれています。

        • 昼白色5400K
        • 演色Ra80以上



      明るさは20%もあれば十分



      ネガフィルム専用の撮影設定

      シャッターボタンは振動するので、♥静音モードと背面モニターのタッチシャッターがお勧めです。マイクロフォーサーズのハイレゾショット対応機を所有している場合は、使用した方がより高画質に保存できます。
       
      ピント合わせはAFでもOKですが、MFを使用する場合はピーキングをONにします。
       
      • F値:F8〜F11 *可能な限り絞る。ただし、F11以上絞ると小さな埃が写り込みやすくなる。 
      • ISO:Low〜200
      • WB:2450K〜3200K *使用するフィルム、光源、カラーフィルターの有無(カラーフィルターを使用する場合は各フィルターの透過率を考慮する)に応じて設定を変える。ここでRAW現像の仕上がりが決まる。
      • 階調:Low
      • アスペクト:3:2
      • 仕上がり:Vivid

      以下は、ネガフィルムをポジフィルムのようにくっきりと現像したいときに設定します。
      • コントラスト:+2
      • シャープネス:+2
      • 彩度:+1
      • ハイライト:+2
      • シャドウ:−2
      • 中間部:−2


      以下、KODAK400を上記設定でWB毎に複写した後、RAW現像ソフトでトーンカーブを反転したサンプルです。






      ちょっとアレンジ、色補正フィルター(隠し味)

      フラッシュ用のカラーフィルターを併用することで、フィルムの個性を強調したり、自分好みの仕上がりに変えることができます。







      KODAK400の現像結果

      • サンプルのフジカラーCD(200万画素相当)
          DIGITAL COPY(Original)


            • デジタルコピー(WB2650K。カラーフィルター無し、RAW現像ソフトで反転後にコントラスト調整したもの)

            DIGITAL COPY


              • デジタルコピー+α(WB2650K。カラーフィルター有り、RAW現像ソフトで反転後にコントラスト調整したもの)
               
              ストロボ用の薄い青紫のフィルターを「ES-1」の前面に被せたところ、仕上がりがオリンパスブルーのような青空に変わりました。
               
              DIGITAL COPY + α

               


              写ルンですの現像結果

              カラーフィルター無しでも再現性の高いデータになりましたが、水色のカラーフィルターを付けるとまた違った雰囲気の写真を現像できました。

              •  サンプルのフジカラーCD(200万画素相当)
               
                DIGITAL COPY(FUJICOLOR CD)

                        •  デジタルコピー+α(WB3200K。カラーフィルター有り、RAW現像ソフトで反転後にコントラスト、色、色温度を調整したもの)

                          DIGITAL COPY + α




                          KODAK200の現像結果

                          EOS Kiss にZUIKO AUTO-T 135mm F3.5を付けて撮影した時の写真です。フジカラーCDの現像が戻ってきた時に、晴天の中で撮影したはずなのに全ての写真の仕上がりが暗くてとても意外だった記憶があります。色補正フィルターなしでデジタルコピーするとシャドウが強調された仕上がりにはならないため、ラボ装置側で自動補正された結果なのかなと思います。この写真のEXIFにはSP−2000とあり、2001年に販売を開始したラボ装置のようです。

                          • サンプルのフジカラーCD(200万画素相当)


                          • デジタルコピー+α(WB2450K。カラーフィルター有り、RAW現像ソフトで反転後にコントラストと明るさを調整したもの)

                          水色や青紫のフィルターだとイメージに合わず、あえて薄いオレンジのフィルターを重ねてみました。あれこれ色補正フィルターを試していると、我が家に小さなラボ工房ができたみたい。



                          POTRA160の現像結果

                          この記事を書いてから3年後に再トライ。ソ連のLOMO SMENA35 + POTRA160で撮影した写真です。

                          • サンプルのフジカラーCD(200万画素相当)
                           
                           
                           
                          • デジタルコピー(WB2550K。カラーフィルター無し、RAW現像ソフトで反転後にコントラスト、色、色温度を調整したもの) 

                           

                          ハイレゾショットで青空の色が復活しました。お遊びで「ストリップフィルムホルダー」の枠を残して昔風の現像に仕上げてあります。