2023年4月30日日曜日 更新:

1982年製造のAI Nikkor 50mm F1.8S(LTII)の写り

装着するだけでMTFが向上する「LTII EF-m4/3」にAI Nikkor 50mm F1.8Sを装着すると、写りはどうなるでしょうか。

主な仕様

  • レンズ構成:5群6枚
  • 最短撮影距離0.45m
  • 最大撮影倍率:0.15倍
  • フィルター径52mm
  • 最大径x全長φ62 x 29mm
  • 質量:175g

 


基本情報

  • 製品名:AI Nikkor 50mm F1.8S
  • 希望小売価格:10,500円
  • 発売日:1979年
  • Exif登録ダウンロード

 

ニッコール千夜一夜物語」によると、1980年に発売されたリトルニコン「NIKON EM」用レンズとして発売された。購入したものを「ニッコールシリアルナンバー検索」で調べたところ、1982年の製造品のようです。

 

 

外観

購入したのは国内版の金属外装/最短0.45mバーションです。シリアルナンバー4000001以降は海外向けバージョンで、鏡胴はプラ外装/最短0.6mと寄れないものが存在します。

レンズフードは、ユーエヌオリジナルアルミ削り出しドームフード「UNX-5289」を選びました。


ニコンF-EOSマウントアダプターは、K&F Conceptの「KF-NFEF」にしました。リングを外すときは、マウントアダプターの裏にある爪を押しながら回す必要があります。商品ページの解説動画は片手ですが、右手で爪を抑えた状態にして左手で回す方が外しやすい。


これがOM-EOSリングと違って取り外しが非常に面倒臭いのと、ニッコールレンズは絞りリングがマウント側にあるので、絞り値が変更しづらい欠点があります。 ニコンFマウントのレンズを沢山所有している場合は、素直に「LTII N/G‐m4/3」を購入するのが吉かもしれません。

LTII N/G-m4/3


 

しかしこれで、CP+2023で話題になったコシナが5/16に発売するニコンF用の新レンズがm4/3でも使えてしまう訳です。しかも40mm F0.9というレンズに生まれ変わる。



ニコン Z fc

ボディが「ニコン Z fc」の場合は、素直に「LTII N/G-NZ」アダプターを購入するか、、、

LTII N/G-NZ

 





変則的だが「LTII EF-NZ」に上記のNF-EOSアダプターを装着する方法があります。


LTII EF-NZ

 

 

試写

OM SYSTEM OM-1にLTIIとKF-NFEFを装着して撮影を開始しました。絞り開放はコントラストが低めで、順光でグリーンフリンジが出やすい描写は「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8(LTII)」に似ています。

OM SYSTEM OM-1 AI Nikkor 50mm F1.8S at 1/10 F1.3 ISO400 -0.3EV

 

ボケ味はちょっと派手めで、同じ焦点距離でもズイコー50mm 1.8(画角47度)とニッコール50mm F1.8S(画角46度)の差が若干あります。

左:ズイコー50mm F1.8 右:ニッコール50mm F1.8S


ズイコー50mm F1.8は、背景のぼけが目立たず主題を引き立てている。一方、AIニッコール50mm F1.8Sはメリハリのある描写です。気になる点としては、逆光の開放絞りのときパープルフリンジや、、、

左:ズイコー50mm F1.8 右:ニッコール50mm F1.8S

左:ズイコー50mm F1.8 右:ニッコール50mm F1.8S


下図の中央部やや下のところに、像の歪みが僅かに出ました。以前、「ズイコー50mm F1.8」を組み立て直したり後玉を交換することで、ゴーストや色収差が改善された事があった。ということは、このレンズもOHすることで、パープルフリンジや像の歪みが改善されるかもしれません。

左:ズイコー50mm F1.8 右:ニッコール50mm F1.8S

左:ズイコー50mm F1.8 右:ニッコール50mm F1.8S

 

 

改めてLTIIとは

9年前に購入した「ニコンF−M4/3マウントアダプター」によるズイコーと比較した結果を改めて見ると、今回と全く同じ描写傾向であることが分かります。LTIIは、フォーカルレデューサーレンズを経由しているが、レンズの個性を維持したまま、画角を0.7倍広げてF値を0.7段明るくしてくれるアイテムと言えます。少なくとも、購入したアダプターは当たり🎯のFRレンズで良かった。



OH後の結果

AI Nikkor 50mm F1.8SのOHを行ってみました。ズイコーと違って、メンテナンスが非常にしやすい内部構造です。OHは、主に前玉/後玉のクリーニングとヘリコイドグリスの交換を行いました。

ヘリコイドを装着する位置は、以下の手順でねじ込むとピッタリ収まる。

  1. 鏡胴を無限遠に合わせる
  2. ヘリコイドの2つの溝と鏡胴の2つの溝が180度対称になる位置に合わせる
  3. ヘリコイドをねじ込む
  4. 2つの溝の位置が揃うまで回転させる
  5. ストッパーを装着してネジ止めする

 

OM SYSTEM OM-1 AI Nikkor 50mm F1.8S(LTII)
at 1/100 F1.3 ISO1250 +0.7EV