2016年9月20日火曜日

新型センサー搭載!OM-D E-M1 Mark II の製品特徴

9/20のフォトキナ2016で、OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II の製品発表がありました。想像を超える進化を見せたオリンパスのフラッグシップ機の実力を少しづつ紐解いていきたいと思います。




常用感度ISO6400の衝撃

高速画像処理エンジン「TruePic VIII」の採用により、高感度撮影時の画質が飛躍的に向上し、ディテールを残したままノイズが少ない映像を得ることが可能となりました。これに伴い常用感度(ISO AUTO時)の上限もISO6400となり、さまざまな撮影シーンに柔軟に対応可能となります。

4K動画に対応するため、画像処理エンジンに4コアCPUが2つ搭載されました。これによりAFが高速化されることは予想していたのですが、常用ISO感度まで改善されるとは。多くのユーザーから高感度ノイズ改善の要望があることは知っていましたが、フォーサーズユーザーだった自分としては、これが一番のサプライズです。オリンパスの片岡氏によると、今回の画像センサーはこれまで採用されたことのない新型で、ノイズ耐性に優れた性質を持つようです。2012年に登場したOM-D E-M5がテクノロジーの分岐点だったように、今後は「OM-D E-M1 Mark II 以降」という言葉が使われるようになるでしょう。画素特性の改善や、センサー上にあるガラス両面に反射防止のARコートを施すなど、様々な工夫を組み合わせることで高画質を実現しているようです。

バッファメモリ容量は更に2倍に!



運動会の強い味方?の新機能「プロキャプチャー」

4K動画から静止画を切り出すことができるパナソニックの「4Kフォト」。オリンパスは、これに似た「プロキャプチャー」という機能をE-M1 Mark IIに新搭載します。使い方は非常にシンプルで 、シャッターボタンを半押しするとカメラ内部では20MPで記録を開始。次に「ここだ!」と思った瞬間にシャッターボタンを全押しすると、直近の14コマを残してくれる機能です。これは、1年以上前に発売された「Nikon 1」で既に実現している機能(ベストモーメントキャプチャー)だそうで、飛翔している蝶や野鳥の飛び出しの瞬間などを捉えた写真がインターネット上に溢れており「かなり使える」モードのようです。

従来のDSLRカメラとの比較
 

AF連写速度は劇的に進化

121点オールクロスタイプの像面位相差AFセンサー搭載と新AFアルゴリズムにより、様々な対象の追跡精度が向上。初代E-M1と比較すると、メカ・電子シャッター共に大幅にコマ数が増加していることが分かります。EVFは従来の2倍のフレームレートとなり、連写Lでのブラックアウトが短縮されたために連写H/C-AFは廃止となりました。その他、AFリミッター機能、5点グループターゲット、クラスター表示などのAF設定が使用できるようになりました。

連写モード
AFモード
連写速度
連続撮影可能枚数
連写 H
(露出は1コマ目固定)
S-AF
MF
メカ:最大約10→15コマ/秒
電子:最大約11→60コマ/秒
(新)ProCapture:約60コマ/秒
(ISO8000以上で30コマに制限)
RAW: 約 41 →メカ84コマ、電子48コマ
JPEG/LN: 約 95 →メカ117 コマ、電子48コマ
連写 H
(露出は1コマ目固定)
C-AF
メカ:約9→廃止
電子:約6→廃止
RAW: 約 41 →廃止
JPEG/LN: SDカード容量 →廃止
連写 L
C-AF
メカ:約6.5→10コマ/秒
電子:約4.5→18コマ/秒
低振動:約5→10コマ/秒
(新)ProCapture:約18コマ/秒
(開放~最大F値はF8)
RAW: 約 50 →メカ148 コマ、電子77コマ
JPEG/LN: SDカード容量 →メカSDカード容量、電子105コマ


気になる電子部品の熱対策

撮像素子と画像処理エンジンの高速化及びバッテリーの大型化により、問題となるのがカメラ本体の発熱。OM-D E-M1 Mark IIは製品の性能と安全性を確保するために、これら3つの熱源を極力離して配置しつつ、放熱に最適な経路を熱流体解析ソフトウェアを使用して入念に対策しているとのこと。また、センサーの読み出しとAF計算および画像処理を並列処理させることで、スピードアップと省電力を実現している。来年発売されるパナソニックのGH5が6K/30Pと4K60Pに対応すると発表したが、オリンパスは消費電力と発熱の問題を考慮して4K30Pとしたとコメントしている。



かゆいところに手が届く、ユーザー視点の改善

これまでのオリンパスのカメラは、基本的にプロ写真家やハイアマチュアの意見を中心に開発されてきたのではないか。細やかな改良がこれまであったかというと、あまり無かったと思う。そういった点では、ユーザー数の多いキヤノンやニコンが圧倒的に有利でした。しかし、今やOM-Dユーザーは世界中に広まりつつあります。今回、下表のようなユーザー視点の改善が増えたことは特筆すべき点だと思います。


カテゴリ
改善内容
プロ写真家、ハイアマチュア向けの改善(正常進化)
グリップ大型化、デュアルSDスロット、記録先フォルダー指定/フォルダー新規作成、C-AF追従感度の5段階化、シャッター低速限界、AFスキャン、プリセットMF
ユーザー視点の改善
(使い勝手向上)
タブスクロールメニュー、USBタイプCの採用、マイセットのPCバックアップ、バッテリー残量のパーセント表示、AF Home、罫線色設定、日時秒表示、背面レバーの電源スイッチカスタマイズ

画像センサーの開発に5年、ボディの開発に3年の歳月を経て誕生したOM-D E-M1 Mark II。2016年内に発売できれば、オリンパス80周年記念モデルの最後を飾るカメラとなる。価格はまだ未定ですが、シャッターユニットの耐久性が20万回なので、定価は20万円でしょうか。^^; 早く新型センサーと新画像処理エンジンによる高画質の実写サンプルを見てみたいですね。