2025年9月28日日曜日 更新:

OM-5 Mark III(仮)の噂

9/27、早くも次機種の噂が登場です。

  •  「オリンパス時代のE-M5 Mark IIというカメラがすごく好きなんですよね。形もかっこよくて。あれを今の技術でもう1回、ブラッシュアップして作れたらいいな、とずっと思っています
  • 私は将来的に、「これはOM SYSTEMの代表作だ!」と言えるようなヒット商品を作れたらいいなと思います」(9/27、note)  


いつ? 

  • 2012年03月 E-M5
  • 2015年02月 E-M5 Mark II
  • 2019年11月 E-M5 Mark III
  • 2022年11月 OM-5
  • 2025年07月 OM-5 Mark II
  • 2028年07月 OM-5 Mark III? 


外観 

今の技術でもE-M5 Mark IIと同じものは作れるけれど、コスト・市場・方針の三重苦で現実的には作れないということなのでしょうね。

私も5シリーズのメタルボディ復活を待ち続けている一人ですが、ニコン Zfcのように、金属パーツを部分的に採用すればよいのかと思いきや、E-M5IIのように小型化すると部材コストよりも組み立てや検査コストが増加するジレンマがあるみたい。安易にボディを大型化しようものなら「マイクロフォーサーズなのに大きくて重い!」と言われてしまいます。

 

ニコン Zfc

 

よし、それなら中身で勝負だとなるはずですが、今だに「ボケエフェクト」が搭載されないですし、フォーマットも8-bit JPEGと12-bit RAWで戦っていますね。これが一番不思議かもしれない。14-bit RAW については OM-1 Mark II / OM-3 で限定的に採用しましたが、5シリーズに搭載するとなるとファイルサイズ増大による記録速度の問題や、多くのシーンでは12-bit RAWで十分なことが多いので過剰なスペックだと判断する可能性が高い。

以上のことから現在の5シリーズの戦略は理にかなっているし、個人的にはOM-5 Mark III(仮)の外観や搭載される機能というのは、現行と同じアウトドア路線とCP機能の拡張になるんじゃないかと予想します。 

 

ボケ問題 

「ボケエフェクト」については、iPhoneのポートレートモードのようなリアルタイム処理と、既存の写真にブラーエフェクトをかける製品が存在します。

iPhoneのポートレートモードは、髪の毛や半透明素材では依然として不自然な処理が見られ、Apple公式も「深度マップ生成の誤差」を課題としています。カメラメーカーとしては、大口径レンズによる光学的なボケのほうが確実ですし、現時点では実装の優先度は低いと言えます。一方、既存写真にボケエフェクトをかける製品は、2020年2月にAdobe Photoshopに新しい「レンズぼかし」機能が導入されました。(注1

現在のML技術で実際にアプリを作成してみたところ、既存写真の変換はかなりの精度で使える印象です。1クリックで3D写真に生まれ変わるので、特にマイクロフォーサーズユーザーには恩恵がありそうな機能です。高精度推論には大容量バッテリーとNPU性能が必須になるので、搭載するとしても1シリーズ限定の機能にするか、JPEG限定にして新アートフィルターとして採用するのも面白そう。いい写真なのに背景がちょっと気になるときに結構使えます。(注2

 

 

JPEG問題

残るSDR(標準ダイナミックレンジ)画像の課題については、HEIFフォーマットを採用すれば解決です。ところが残念なことに特許の問題がある。HEIFという形式自体は「コンテナ(画像の入れ物)」にすぎないのだが、その中で画像を圧縮しているコーデック(HEVC = H.265)は、MPEG-LA や HEVC Advance といった特許プール団体とライセンス契約を結び、ロイヤリティを支払う必要がある。それが、マイクロフォーサーズ陣営(特にOM)がHEIF対応を見送っている理由ではないか。

では、HEIFの代替候補はないのかというと、商用利用可能でオープン規格の「AVIF(エイビフ)」や「JPEG XL」が期待されている。AVIFは、Google, Apple, Microsoft, Amazonなどが参加するAlliance for Open Mediaが主導しており、JPEG XLは、ISO/IEC JTC 1 SC 29(国際標準化団体)が策定したオープン仕様である。(注3

実際にOM-1のRAW写真を Pixelmator Pro の「HDR JPEG」と「HDR AVIF」を出力して動作を確認したところ、JPEG XLは既存アプリでも表示できる互換性の高さがあるがFinderやブラウザでは8bitで表示される。AVIFはFinderやChromeで10bitらしい奥行きのある画像を表示できたが、圧縮率はHEICほどではなかった。(注4

  • ORF:18.2MB
  • HDR JPEG:16.0MB
  • HDR AVIF:13.6MB
  • HDR HEIC:11.6MB
  • JPEG:12.9MB 


JPEG問題は改善して欲しい項目のひとつですが、こういった様々な事情が複雑に絡み合ってOMは身動きが取れない状況なのでしょう。しかし、このまま放置し続ければ不当なレッテルのせいでヒット商品は生まれず、ブランド力が伸びない悪循環が続くことになります。

解決する手段としては、EVFや液晶モニターで10-bit表示を擬似体験できる「HDR」モードを搭載するのはどうだろうか。カスタマイズボタン1つで呼び出せる「S-OVF」モードのように、SDRとHDRをOn/Offで簡単に切り替えることができれば表現の幅が広がりますし、5シリーズがより魅力的な製品になるのは間違いないと思います。(注5

 

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更新履歴

  • 2025/9/28、「OM-5 Mark III(仮)の噂」の記事公開。

  • (注1)Adobe Lightroomにも2023年10月にAIを活用したプレビュー版の提供を開始したあと、2024年5月にワンクリックで背景ぼかしを簡単に適用できる正式版をリリース。玉ボケやバブルボケまで再現できるようになっています。

  • (注2)オープンソースのAIモデルの人物認識の精度はまだAdobe Senseiのレベルには追いついていませんが、「ボケ強度」、「フォーカスポイント」、「前ボケ抑制」の3つの機能を付けると、テレビや液晶ディスプレイのスライドショーで十分楽しめるレベルになります。写真によってはPixelmator Proの「和らげる」機能で細部の修正が必要になるケースがあります。多角形選択(+Shiftキー)で修正箇所をしっかり囲んでから「和らげる」と3Dの仕上がりがぐっと上がります。10/7、2011年度の家族写真の3D化が終了。素材はまだまだあるので長く楽しめそうです。

  • (注3)日本メーカーはどちらを採用するかというと、現時点では明確にAVIFへ傾いていると見られる。その背景には、スマートフォンやWebブラウザなどでAV1コーデックを採用するエコシステムの広がりがある。AVIFは、主要OS・ブラウザでのサポートが急速に進んでおり、AndroidやmacOS、Windows 11でも標準的に扱える環境が整いつつある。JPEG XL はオープンなアーカイブフォーマットとして再評価の機運もあるが、Chromeが一時期サポートを打ち切った経緯もあり採用の動きがやや停滞している。

  • (注4)10/8、macOS最新のTahoe 26.0.1で確認しました。 

  • (注5)10bitを採用すれば全てが解決するという訳ではなく、シーンによってトーンカーブをいじる必要があったり、8bitで表現する写真にも良さがあったりします。OMのカメラには、それを支える豊富な測光モードと2ダイヤルのハイライト&シャドウコントロールがあります。
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