2024年9月27日金曜日 更新:

PS Align ProとTP-2で日中の極軸合わせ

日中やベランダなど北極星が見えないときの極軸合わせを効率アップするiOSアプリ「PS Align Pro」を使用してみました。
 

PS Align Proとは

PS Align Proは、極軸合わせを支援する便利ツールです。無料版と有料版の2種類があり、2021年11月に新しいiPad miniとiOS15に対応したv6.2、2024年4月には最新版のv6.8がリリースされました。
 
作者はギリシャのコンピューター科学者および物理学者のエクアドルさん。コメントや質問は大歓迎とのこと。(問い合わせフォーム) 
  • すべての機能とアップデートは永久に無料
  • PS Align Pro Watchは、Apple Watch用
  • Android版の開発は未定

 
 

ダウンロード


 

設置箱の作成

有料版に含まれている機能の一つに「PS Align Daytime」という日中やベランダでの極軸合わせを支援する機能があります。
 
設定ガイドによると、「PS Align Daytime」は iPhoneの画面を天の極(North Celestial Pole)に向けるのではなく、iPhone上部を天の極に向ける必要があります。


また、iPhoneをTP-2に設置するケースを金属製にするとコンパスが5〜10度ほど狂ってしまうため、プラスチックや厚紙、木箱などがお勧めとのこと。カメラ用の液晶保護フィルムが入っていた木箱が部屋に転がっていたので自作してみました。設置の際に背面カメラの出っ張りが木に当たらないように注意しました。

マウント部の板は積水の強力両面テープで固定


 

PS Align Proによる日中の極軸合わせの流れ(iOS18対応)

  1. (初回のみ)iPhone設定/アプリ/コンパス/真北を使用(固まる場合) 
  2. (初回のみ)iPhone設定/機内モードをONにする
  3. 三脚と微動雲台を設置して水平にする
    1. 2軸水準器を使用して微動雲台を微調整する
    2. 水平になった雲台にiPhoneを載せて「PS Align Pro」太陽アイコンをタップ
    3. Settings>Gyro Calibrationをタップ
    4. Save OffsetをタップしてDone 
  4. ポータブル赤道儀とシンプルフォークユニット2を設置する
  5. 汎用ベースクランプx2の向きを目盛り水準器確認しながら垂直にする
  6. 木箱を固定してiPhoneを置く
  7. 「PS Align Pro」太陽アイコンをタップ(表示されていないときは右下の…をタップ)
  8. 微動雲台で十字線が的の中心になるように微動雲台を調整する
 
とても分かりやすい✨



使ってみた印象

  • 操作ガイドによるとLocation:「自動」を推奨だがSE2/6sの場合はLocation:「Map」または「Find Place」の方が安定した(後述)
  • MapおよびFind Placeの結果はお気に入りに登録できる
  • 設置の際は横着しないでiPhoneのケースは外すべし
  • 歯車の「Disable display sleep」をYesにしておくとストレスフリー
  • あくまでラフな位置合わせで「ライブドリフト」は併用する
 
 
 

レチクルパターンの設定

ホーム画面のレチクルパターンは、日中やベランダでは極軸望遠鏡と絵を合わせる必要もないので、肉眼で見たままの設定にします。

  1. 歯車をタップ
  2. 左上の「Change Polar Scope」をタップ
  3. 上から4番目のOrion ClassicをタップしてDone
  4. Advanced Settingsをタップして「CORRECT」を選びDone

 

 

ミニバージョンの作成

机の上に置ける小さいタイプも作ってみました。北極星の周りを北斗七星、カシオペヤ座がくるくると回っている様子を眺めるだけでも楽しい。家の中は電子機器や金属だらけでデジタルコンパスが狂うことは日常茶飯事なので、2つあると問題の切り分けの際にも役立ちそうです。




GPSの技術仕様

Phone 6s

A-GPS、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)、QZSS(日本)

iPhone 7

A-GPS、GLONASS、Galileo、QZSS

iPhone 8

内蔵GPS/GNSS

iPhone SE

A-GPS、GLONASS

iPhone XS

A-GPS、GLONASS、Galileo、QZSS

iPhone SE2

GPS/GNSS

iPhone 11

GPS/GNSS

iPhone SE3

GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou(中国)

iPhone 12

GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou

iPhone 13

GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou

iPhone 14 Pro

高精度2周波GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou

iPhone 15 Pro

高精度2周波GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou、NavIC(インド)

iPhone 16 Pro

高精度2周波GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou、NavIC

対応信号

L1C/A(共通)


2018年11月1日よりQZSS(みちびき)に対応。iPhone14以降のProシリーズに搭載された高精度2周波GPS(L1とL5の2つの周波数帯を使用)により、位置情報の精度が大幅に向上します。iPhone14以降の無印は、iPhone13と同じGPSです。
  • Googleマップのリアルタイム表示:
    • 屋内や都市部のような電波が遮られやすい環境のリアルタイムの位置表示がより早く正確になります。
    • iPhone13よりもさらにふらつきが少なくなる可能性が高く、iPhoneSE2やiPhone6sのような位置の不安定さはほとんど解消されると考えられる
  • Googleマップの座標とLocation Manager内の「Find Place」の座標精度
    • iPhone13でも問題なかったが建物の近くや障害物の多い場所での座標の精度向上が見込まれる
  • iPhone13以降の気圧センサー
    • GPSと連携して絶対高度や「Auto Location」が一致する
    • 2周波GPS対応機種は高度測定機能によって、特に移動中や天候の影響を受けやすい場所での高度測定がより正確に行われることが期待される
 
以上のことから、ベランダの極軸合わせはiPhone13以降の無印もしくは14以降のProシリーズがベスト。「PS Align Pro」太陽アイコン内の「Compass:Good」のときは「Auto Location」、「Compass:MediumまたはBad」のときは「Manual Location」を選択するのが良さそうです。
 
 

新機能

2024年4月16日 ver.6.8 
  • Alt-Az フィールド回転計算機を追加しました。
  • 6 つの計算機にバーロー/リデューサー オプションを追加しました (接眼レンズの倍率、接眼レンズの投影焦点距離、イメージング システムの FoV、月面ビューの実際のサイズ、接眼レンズの視野、イメージング システムの arcsec/px)。
  • Xasteria Weather の Sat24 および Clear Sky Chart の場所を更新しました。
 
 
 

更新履歴

  • 2022/07/05 - 記事公開
  • 2023/09/21- iPhone 14/15のGPS情報, PS Align Proの新機能情報を追加、アプリ価格およびレチクルパターンの設定をver.6.5に反映 
  • 2024/9/27 - iPhone16/iOS18に対応