2023年4月11日火曜日 更新:

ゴーストのクセが強いオールドレンズの原因を調べる

最近すっかりお気に入りとなった、オリンパスの「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8(LTII)」だが、登山で使うときにちょっと気になる問題が見つかりました。

ゴーストのクセが強い

登山に行くと、必ず太陽を入れた風景写真を撮ります。どんなものかと自宅で試しにF16に絞って太陽を撮影したところ、なんと光条以外に、画面の端まで一直線に伸びる青白いゴーストが出ました。最初は「これもオールドレンズの味だから」と納得しようとした。しかし、どうしても納得できなくなった。
 
何だこれは

 

なぜなら私はもう1本「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8」を持っている。そして、こんな青白いゴーストは出ない。他の同じ時代のOMレンズもこのようなゴーストは出ません。 「その、もう1本を使えばいいじゃない」と思うかもしれません。それはできない。もう1本は、無限遠が出ないのだ。興味本位で分解したあと壊してしまった。だから2本持っているのです。



マウントアダプター

私は最初に「LTII」を疑った。ところが通常のOM-MFTマウントアダプターにレンズを装着して確認しても、同じように一直線の青白いゴーストが出ました。つまりLTIIは悪くなかった。中一光学さん、疑ってごめんなさい。

 

 

前玉

続いて、前玉を交換してみました。3つネジを外すだけなので非常に簡単な作業です。前玉にクモリやコーティング剥がれがあるので、同じレンズをもう1本を購入することに前向きになった経緯がある。結果は変わらず。前玉にクモリやコーティング剥がれがあっても、青白いゴーストの原因にならないことが分かった。前玉を元に戻すときは、絞りリングの位置をF16に設定すること。

 

 

後玉

次に後玉のレンズを交換してみることにしました。これも3つネジを外すだけの簡単な作業です。外すときは、ピントリングを無限遠に設定してから外すこと。これで解決しない場合は、中玉を交換することになる。結果は、、、

き、消えた

 

正確には、一直線の青白いゴーストが細く薄くなって目立たなくなった。「ZUIKO MC AUTO-S 50mm F1.8(LTII)」は、逆光時の柔らかいフレアとボケ味の虜になっていたが、風景写真にも使える万能レンズに生まれ変わった。F5.6〜F16まで順番に試すと太陽の位置によって様々な嫌味のないゴーストが現れて、これまた楽しい。

しかし、問題箇所を特定できたが、後玉レンズを見比べてみても違いがよく分からない。裏表が逆なのかと思ったら、ひっくり返すと装着できず。LEDライトに照らして目を凝らしてみても、目立つ傷などは特にありません。所有する2つの後玉の特徴は以下の通りです。


  • 後玉1:F8のみ細く長い光線が斜めに出る
  • 後玉2:開放から太く長い光線が斜めに出る


 

墨塗りの効果

1日経って、昔読んだ記事のことを思い出す。

 

  • 写真撮影用の交換レンズにおけるスミ塗りでは、レンズの端面を塗るだけでなく、端面から0.2ミリ程度レンズ表面に及んだ部分にも塗料をのせるのが特徴です。これはアイラインを強調してレンズの外観を良くすることにも貢献していますが、美的な効果よりも光学性能の向上を主な目的としています。ごく僅かにレンズ表面まで反射防止塗料を塗布することで絞りの効果が生まれ、画質に悪影響を及ぼす斜めの光線をカットする役割を果たしてくれるのです」(2014、コシナ

 

バラした後玉には、レンズの端面に墨塗りが施されていません。墨塗りをして変化があるか。それともMCレンズなので意味がないでしょうか。ちなみにZUIKO AUTO-S 40mm F2の後玉には墨入りが施されていました。

ズイコー50mm F1.8 は、後玉用のレンズキャップがエッジを2mmほど覆い隠す工夫がしてあり、墨塗りを不要にしていると思われる。念のため墨塗りしたあと撮影してみると、以下のような変化がありました。


  •  後玉1:F8〜F11でカメラの角度によって細く長い光線が斜めに出るときがある



あまり現代風の写りになってもつまらないが、とりあえず家猫を可愛く撮れるから(๑•̀ㅂ•́)و✧ヨシとしよう。F1.3の大口径レンズなのに、開放絞りからパープルフリンジが目立たないので大変撮りやすい。






無限遠が出ない理由

2つの50mm F1.8を見比べると、私が最初に購入したジャンク品は、ヘリコイドのストッパー部品などマウント内部の形状がいくつか異なることに気がついた。ズイコー50mm F1.8のレンズラベルはどちらもMCで同じものだが、鏡胴1と鏡胴2の製造番号は以下の通り。気になったので、もう1つズイコー MC 50mm F1.8のジャンク品を購入したところ、鏡胴2と鏡胴3の内部パーツは共通でした。同じMCラベルでも鏡胴1と鏡胴2の間で若干の仕様変更があったようだ。


  • 鏡胴1の製造番号:1792xxx
  • 鏡胴2の製造番号:2521xxx
  • 鏡胴3の製造番号:2692xxx

最初に購入したジャンク品の無限遠が出ない理由は、ヘリコイドの差し込み位置にルールがあった。ストッパーを外した状態で鏡胴を無限遠に合わせたあと、ヘリコイドのストッパーの溝を∞マークに合わせて押し込み、反時計回りでねじ込むと正しく組み立てられる。これで無限遠が出るようになる。



リング状のゴースト

3つ目のズイコー MC 50mm F1.8は、後玉にコーティング剥がれとカビがあった。これをクセ強の後玉2と交換するとどうなるか試してみようとなった。すると、、、なんとあの青白いゴーストがリング状になって現れた!

おやっ


最終的に、中玉含めて何度も繰り返して組み立て直しているうちに、青白い斜めの光線はどの組み合わせでも出なくなった。実は、お店の保証がある後玉2が、一番レンズの品質が良かったのではないか。所有する3つの後玉を整理すると、以下の特徴を持つ。


  • 後玉1:適度に光が暴れる(ジャンク品、見た目は綺麗)
  • 後玉2:青白い斜めの光線またはリング状のゴーストが出る(保証付き、見た目は綺麗)
  • 後玉3:適度に光が暴れる(ジャンク品、コーティング剥がれ)
 
ピントリングや絞りリングなど、操作して一番気持ちがいいのは鏡胴3でした。これはZUIKO AUTO-S 40mm F2に肉薄する気持ちよさです。最終的に以下の構成で落ち着きました。

 
  • メイン:前玉2-鏡胴3-後玉2
  • サブ:前玉3-鏡胴2-後玉1
  • 予備:前玉1-鏡胴1-後玉3

軽くスナップしてみたら、開放絞りで逆光を撮ってもパープルフリンジは出ず、派手なゴーストは影を潜める。ピントリングの感触は最高で、絞りリングは静音仕様。しかしオールドレンズならではの柔らかいフレアは出るという、、、無敵のズイコー MC 50mm F1.8(36.3mm F1.3)が爆誕してしまった。どうしよう。